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ドイツには学校の部活がないって本当?(3)

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ドイツでは育成時期である18歳以下のアマチュアユースチームのサッカーの試合は、日本の高校野球のように注目されることはない。まだ育成の段階だから試合の結果は重要ではない。

 

 

今は選抜高校野球が甲子園球場で行われているが、ドイツでは日本の高校野球のような大会は絶対にありえないことは既にブログ記事に書いた。写真上は阪神甲子園球場。

 

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高校野球というアマチュアスポーツがドイツを始めとするヨーロッパ諸国では、テレビで放送されないし国民もあまり注目しないのは、若い学生スポーツの時代は結果よりも好きなようにプレイさせる育成に重点を置いてるからであり、例えばドイツのサッカーでもU17(17歳以下)のヨーロッパ大会はあるが、まだ育成の時期でありほとんどの選手がアマチュアなので結果はあまり重要ではないのである。こういうことは、サッカーファンもよくわかっている。結果が重要視されるのはプロスポーツからである。プロになるとブンデスリーガ1部2部3部辺りまでは、勝つとすごくほめられるし、負けると滅茶苦茶に貶される。だが、アマチュアの育成の時期はほとんど注目されない。アマチュアの15歳から18歳のユースチーム(日本でいうと高校の時期)の大会が、全国放送されて注目されることもあり得ない。その時期はまだ育成段階だから、結果はそんなに重要ではないからである。

 

ドイツでは人気スポーツであるサッカーのチームは、全てがドイツスポーツ連盟の傘下に入っているように、日本の高校野球もスポーツ庁の傘下に入るべきである。

 

ドイツにはDSB(ドイツスポーツ連盟)という組織がドイツスポーツ界の頂点にあり、全てのスポーツはDSBの下に組織されているということも既にブログに書いた。だから、ドイツでは日本のように高校野球だけが高校野球連盟という独自の組織の下にあって、独自の大会を開催するということは規則で禁止されているのでできない。日本でいうとドイツのDSBにあたる組織は、文部科学省の傘下にあるスポーツ庁になる。しかし、スポーツ庁が組織されたのは2015年10月という最近のことなので、高校野球連盟という大日本帝国以来の伝統のある組織が、スポーツ庁よりも力を持っているのは仕方がないことだろう。でも、いずれは高校野球連盟もスポーツ庁の傘下に入るべきである。

 

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日本でもサッカーについてはユースチーム出身のプロ選手が増えていて、高校の部活動出身の選手は減ってきている。その理由は日本サッカー協会がドイツのサッカー組織を手本としてJリーグを組織したからである。


1999年春にドイツ人家庭にホームステイをしてドイツ語の勉強をした時に、家族に日本の学校事情について色々と教えたが、「日本では学校の部活でスポーツ、芸術活動をします。そして、学校の部活としてスポーツと芸術の全国大会が開かれるのです」と言ったら、「それはアメリカ式のやり方ですね。ドイツを始めとするヨーロッパでは、学校ではなくて地域のクラブでスポーツと芸術活動をします。学生たちは学校の授業が終わると、それぞれが所属する地域クラブに移動するんです。そして、そこで地域の人たちと一緒に専門のコーチから指導を受けます」ということを、家族の人たちから教えられた。つまり、学校には部活はなくて、地域のクラブチームでスポーツと芸術活動をするのである。僕がホームステイをしていた家族の旦那さんと長男は[Skat](スカート)といカードゲームをプレイするクラブに所属していて、旦那さんはそのクラブのクラブ長を務めていた。

ドイツでとても人気があるサッカーの場合は、地域のユースチームでプロのコーチからの指導を受けてサッカーの練習をする。学校の部活はないので、部活で練習をする選手は誰もいない。上の写真はサッカー日本代表だが、今のサッカー日本代表は学校の部活ではなくて、Jリーグのプロチームのユースチームで練習をした選手が多くなっている。そもそも、JFA(日本サッカー協会)はドイツのサッカー制度をお手本として1993年にJリーグを組織したから、ユースチーム出身の選手が増えるのは当然のことだ。ユースチームの選手が増える一方で、100年ほど前から行われている高校の部活動チームが参加する全国高校サッカーは、毎年注目度が下がっている。

 

日本では高校野球の選手は負けた時に「応援してくれた人たちに申し訳ない」と言って泣くが、ドイツのユースチームのサッカー選手が泣くのは、プロ選手を断念する時である。学校の部活動ではないから、学校は全く関係ないのである。

 

 

だいたい、今の高校サッカー、高校野球などの学校の部活動というのは、底辺の私立高校が生き残りのために大金をばら撒いてスポーツ設備を作り、さらに、優秀な監督とスポーツ留学生を集めてきてチームを強化している。僕は宮城県の仙台市民だが、宮城県では私立の仙台育英、東北高校が野球などのスポーツが強いが、一部のスポーツ特待生と名門大学合格を目指す特進クラスの生徒を除くと、この2校の生徒は宮城県内では成績が底辺の生徒である。僕が知る限りでは他県の高校野球で有名な私立高校も、普通科の生徒は成績が底辺の生徒が多いらしい。

 

どのスポーツにしてもまだ育成段階である高校生に、マスコミと国民が注目するのは良いことではないと思う。彼らは普通に高校生活を楽しみたいので、江川、荒木のような有名な高校生の選手をマスコミが追いかけるべきではない。

 

 

一方でドイツを始めとするヨーロッパのサッカーなどのスポーツユースチームは、学校の部活動ではないから、学校の勉強の成績は全く関係がない。学校の伝統と名誉のために戦うということもない。だから、高校野球のように学校の生徒が野球部の試合を応援にくることはないい、学校のために戦うことはないから、試合に負けてもけっこうサバサバとしている。高校野球のように、負けたら号泣するような生徒もあまりいないらしい。あくまでもユースチームは育成の段階なので、結果よりも自分のプレイがどれほど出来て力が伸びたかということが重要なのである。その点について試合後にはコーチと選手たちがよく話し合うようだ。ヨーロッパのユースチームのサッカー選手が号泣する時というのは、プロ選手になるのを断念することになった時である。ユースチームの選手としてプロ選手になることを夢見て必死に練習をしてきたが、プロチームのスカウトから声がかからなかった時は、彼らは号泣するのである。

 

最後に僕が言いたかったのは、ヨーロッパのサッカーユースチームの選手のように、まだ育成段階にある高校生たちの部活動をテレビで全国中継したりして、そんなに国民とマスコミが注目する必要はないということである。高校野球は大日本帝国の時代からマスコミが注目して報道しているが、実は言うと高校時代の人気選手だった江川卓、荒木大輔などは、大のマスコミ嫌いだった。「まだ高校生のアマチュア選手が、なんで全国的に注目されるのか?俺も他の高校生みたいに楽しい高校時代を送りたかったのに、いつもマスコミに見張られているからプライベートがほとんどなくて、全くつまらない高校時代だった」というふうに2人は後に回想している。今でも高校野球の大会となると多くの選手が注目されるが、まだアマチュアの高校生なのだからあまりマスコミは注目せずに、楽しく伸び伸びとした高校生活を送らせるべきだと思う。