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なぜユダヤ人は迫害されやすかったのか?

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このブログ記事も決してユダヤ人を批判するものではなくて、僕がドイツ現代史を研究していてわかったユダヤ人に関する知識について書きます。

 

 

このブログ記事についても、初めにあらかじめ書いておきますが、このブログ記事はホロコーストで犠牲になったユダヤ人を誹謗中傷するものではありません。また、ホロコーストを否定するものでもありません。ユダヤ人はナチスドイツから迫害されて6百万人ほどが亡くなりましたが、実は言うとその前からどこのキリスト教国でもイスラム教国でも迫害されやすい人たちだったのです。このブログでは迫害されやすかった理由について説明します。

 

写真上は「反ユダヤ主義」の人が書いたユダヤ人のカリカチュア。ユダヤ人は鼻がわし鼻で髪の毛が黒くて、猫背であるというイメージにされたいた。

 

 

ユダヤ人(ユダヤ教徒=ユダヤ人)は「選民思想」が非常に強い人たちであり、ユダヤ教正統派の教えには「異教徒はユダヤ人に奉仕するためだけに存在している」と書いてある。

 

 

まず、ユダヤ人が迫害されやすい理由としては「選民思想」が強いとされている。選民思想というには「自分たちだけが特別な人間であり、他の下品な連中とは違う」という思い込みのこと。ユダヤ教の教えでも「世界が滅びる時にはユダヤ教徒だけがメシア『救世主』に救われて、異教徒はみんな滅ぼされる」と教えられている。だから、正統派のユダヤ人は、自分が死んだ後はユダヤ教徒だけが救われて神の国に行けると信じている。ここで捕捉説明しておくが、ユダヤ人とはユダヤ教徒のこと。たとえ生まれた時は日本人であってもユダヤ教徒になれば、ユダヤ人ということになる。

 

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写真上は2013年10月に亡くなったユダヤ教の超正統派ラビ(高僧)のオバディア・ヨセフ氏。英語の文章は彼の言葉で「異教徒たちはただイスラエル人に奉仕するために、この世界に生まれて存在している。それ以外の存在理由はない」と公の場所で発言している。補足説明するが、ラビとは日本でいうと伊勢神宮の神主か、比叡山の延暦寺の高僧のこと。イスラエル人とは今のイスラエル政府の法律では、ユダヤ人だけがイスラエル人であり、イスラエル国内に住むアラブ人たちは難民となって迫害されている。

 

もしも、日本で伊勢神宮の神主か延暦寺の高僧が日本と世界の平和を祈らずに、「異教徒と外国人は日本人だけを救うために存在している」などと、ネトウヨもドン引きするような発言をしたら、世界中の国々から袋叩きだろう。でも、ユダヤ教徒のラビの場合はそんなに問題にならなかった。そして、オバディア・ヨセフの葬儀の時には数十万人のイスラエル人が参列して、その中には多くの政府高官もいた。彼の死去についても日本ではほんの少し報道されただけだったが、日本はユダヤ教問題とは縁がない国なので、単に日本では報道されなかっただけかもしれない。

 

選民思想が強いというのは40人の生徒がいる学校のクラスで4人だけが、「俺たちは特別な生徒だから、クラスメイトと同じことはしない」と言って、他の生徒とは違う行動をしているような感じである。こういう生徒はいじめられやすい。実際、ユダヤ人はキリスト教国家に住んでいながらいつまでも同化せずに、ユダヤ教独特の生活様式を続けた。

 

 

選民思想が強いというのは学校のクラスに例えると、僕が学生の時は小学校から高校までの1クラスは40人ほどだったが、その中で4人ほど「俺たちは特別だ」と信じている生徒たちの小グループがあって、全ての学校行事には参加しない生徒みたいなものである。遠足にも運動会にもその他の学校行事にも参加しないで、「俺たちは他の生徒とは違って特別な存在なのだ」と言ってるようなもの。こういう生徒は、やはり学校ではいじめられやすい。

 

実際に多くのユダヤ人はキリスト教国で生活していたが、クリスマスもイースターなどのキリスト教徒の行事は祝わない。それで、ユダヤ教徒独特の行事があってそれを祝う。ユダヤ人がユダヤ教発祥の地であるパレスチナの土地から、ローマ帝国による迫害などによって離れ始めたのが1世紀か2世紀のことだから、ユダヤ人はもうキリスト教徒の土地に千年以上も住んでるから、「ユダヤ人たちはいい加減にしてほしい。キリスト教国家に住んでるのだから、私達と同じになってほしい」と呼び掛けても、ユダヤ人は信仰心が強いので、絶対にユダヤ教からキリスト教に改宗しない。これがユダヤ人が迫害されやすかった理由である。

 

写真下は中世にキリスト教右翼の人たちによって迫害されるユダヤ人たち。ユダヤ人はキリスト教の聖職者たち、特にローマ教皇から「異端者」と宣告されていたので、キリスト教国家では国王、貴族の命令で迫害の対象になりやすかった。

 

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日本人がユダヤ教徒になるには、ユダヤ人と結婚するのが最も簡単な方法だが、何のコネもないのにユダヤ教徒になるには、東京大学に合格するくらいの学力がないとユダヤ教徒になることは出来ない。ユダヤ教は少数精鋭の宗教だからである。

 

さらに、ユダヤ人が嫌われて迫害されやすい理由をあげれば、ユダヤ教徒になるのはかなり難しいという理由がある。仏教、キリスト教、イスラム教などは「私はキリスト教徒になりたい」と教会に行って神父様に告げれば、神父様は「それでは洗礼式はいつにして、その日からあなたはキリスト教徒になれます」という感じで、簡単になることができる。日本在住の外国人が仏教徒になりたいと希望する時も、お寺に行ってお坊様と話をして「亡くなったらこのお寺に葬られますが、それでもいいですか」という死後の葬式について同意すれば、簡単に仏教徒になれる。

 

ところが、ユダヤ教徒には簡単にはなれないのである。ユダヤ教徒になりうには、ユダヤ人と結婚するのが最も簡単な方法である。だが、何の頼りもコネないのにユダヤ教徒になるためには、東京大学に合格するほどの難しい試験に合格しないとユダヤ教徒に改宗はできない。日本人でこの難しい試験に合格してユダヤ教徒になれた人は、石角完爾という京都大学法学部とハーバード大学ロースクールを卒業したという超インテリの人だけである。下が日系ユダヤ人である石角完爾氏の説明のリンク。こういうウィキペディアの説明があるほど、日本人に生まれてユダヤ教徒になるのは難しいことなのである。その下が石角完爾氏の著書である、「日本人の知らないユダヤ人」という本。

 

ja.wikipedia.org

 

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つまり、「シンドラーのリスト」「戦場のピアニスト」などのホロコースト映画を見たので、「ホロコーストで迫害されたユダヤ人がかわいそうだから、私はユダヤ教徒になってユダヤ人として生活したい。ユダヤ人になってイスラエルに住みたい」と思ってイスラエルに行って、ユダヤ人のラビ(高僧)に会っても、「それでは今からあなたが選民思想が強いユダヤ教徒に本当になれるのかテストをします。このテストに合格しないと、ユダヤ教徒にはなれません」と言われてしまうのである。それでそのテストに合格できないと、「あなたのような愚かな人をユダヤ教徒として認めるわけにはいきません。ユダヤ教はキリスト教などとは違って少数精鋭の宗教なので、ホロコーストでユダヤ人に同情したくらいでは、ユダヤ人にはなれないのです」などと言われてしまうのである。この少数精鋭の選民思想が、ユダヤ人が嫌われる理由の一つである。

 

 

このようにいつまでもキリスト教に同化せずに、選民思想が強かったユダヤ人たちは、ヨーロッパ中世の頃から金貸し、武器商人のようなキリスト教社会では「卑しい仕事」と言われる仕事をするようになって、大金を儲けて「宮廷ユダヤ人」となって王侯貴族に仕えた。国際ユダヤ資本はこのようにして形成された。

 

 

そして、キリスト教国とイスラム教国で嫌われたユダヤ人がどうなったかは、ウィキペディアの説明に詳しく書いてある。ウィキペディアの「宮廷ユダヤ人」の説明から引用。

 

宮廷ユダヤ人(きゅうていユダヤじん、英語Court Jewドイツ語Hofjude(n), Hoffaktor)は、主として中世ヨーロッパにおいて、キリスト教徒の貴族を相手に資金運用や資金貸付を行ったユダヤ人銀行家、金融業者のことを指す言葉。

後に宮廷ユダヤ人と呼ばれる人たちの登場は、ルネッサンス時代に地方の支配者がユダヤ人銀行家に短期の借り入れをしたことに始まる。彼らは貴族に融資する過程で自然と社会的影響力を持った。

金融業のほか、宮廷ユダヤ人は自分たちの仕える貴族のために外交貿易を行ったり、自分の仕える貴族たちに主として食料・武器・弾薬・貴金属などを、一族やユダヤ人同士の繋がりを利用したりして調達した。

宮廷ユダヤ人は次第に肩書きや、ゲットーの外で住む権利などの社会的特権を獲得するようになる。宮廷ユダヤ人のごく一部は巨大な財力を持ち、また社会的、政治的影響力を得ていった。

 

ja.wikipedia.org

 

 

なぜ、宮廷ユダヤ人は金貸し、武器の調達などの仕事をするようになったのかというと、キリスト教の正統派の教えではこれらの仕事は「卑しい仕事」と見なされていたので、嫌われ者のユダヤ人たちがそういう卑しい仕事をするようになったのである。しかし、ユダヤ人はこれらの仕事を通じて力をつけて、次第に戦争が起こった時にはヨーロッパの王侯貴族たちは、ユダヤ人の金貸しと武器商人に頼るようになった。

 

明治時代の大日本帝国も例外ではなくて、日露戦争の時には日本政府は有名なユダヤ人の金融業者であるジェイコブ・シフに戦費の調達を頼んでいる。シフは日本政府の発行した戦時国債を引き受けることを了承した時に、「日本の敵であるロシア帝国では、多くのユダヤ人が迫害されている。でも、日本人とユダヤ人の間には何の問題もない。ロシア帝国を倒して、迫害されている同胞を助けてほしい」と頼んだという。

 

ジェイコブ・シフの説明。

 

ja.wikipedia.org

 

 

僕がドイツ現代史を研究している時に知ったユダヤ人に関する知識はまだたくさんあるけど、かなりの長文になったので今日はこれまでにします。