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最高に面白かったドイツ映画「ブリキの太鼓」

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ナチスドイツをシュールに批判した西ドイツの名作映画「ブリキの太鼓」について解説する。

 

ナチス・ドイツ時代を描いた映画はたくさんありますが、「ブリキの太鼓」ほどの素晴らしい作品はないでしょう。この映画はちょっとわかりにくい設定の話ですが、僕のようにドイツ現代史に詳しい人間ならよくわかります。


ドイツ映画の「ブリキの太鼓」については日本で封切りになった頃から噂には聞いていたが、なぜか見る機会がなかった。ギュンター・グラス原作、フォルカー・シュレンドルフ監督作品で、1979年のアカデミー外国語映画賞、カンヌ映画祭グランプリを受賞した名作だが見たことのある人たちから、
「変な映画で、エッチなシーンが多い」
と聞いていたので、学生時代は硬派(本当のこと)だった自分は見る気がしなかったのだった。当時は、ドイツ映画といえば「U・ボート」ぐらいしか見なかった。だが、2004年にNHKのBS映画劇場で見た時に、ナチスに興味があり、さらに、ドイツに語学留学していた時に恋人のようなメドヒェン(娘)がいた自分は、当然ながらこの映画の虜になった。


話のだいたいのあらすじ。ネタバレになるので、まだ見たことのない人は注意するように。

1920年代のポーランドのダンツィヒ。ドイツ系の家庭に生まれたオスカルは、3才の時に大人の世界の醜さを知り、自らの意思で成長を止めてしまう。もちろん、現実にはそんなことはできない。この映画は科学的に捉えようとしても理解は不可能である。その後、ナチスが台頭して、ドイツ人とポーランド人が共に住んでいる自由都市のダンチィヒにはナチス派と反ナチス派が対立し始めて、住人の平和な生活にも陰が差すようになり・・・というお話。

このように書くと社会派のお堅い話のようだが、やはり、エロチック、グロテスクなシーンが多くて、見ていてもそんなに疲れない。ドイツ映画で第二次世界大戦を描いた映画では「Uボート」、「ヒトラー最期の12日間」とこの映画がドイツ人にはとても人気があり、ほとんどのドイツ人はこの3作品は見たことがある。

 

ナチスドイツ時代で第二次大戦下の一般ドイツ市民の生活がユーモラスに描かれており、ハリウッド映画とは違う視点のナチスドイツが見れるので極めて興味深い。



この映画で極めて演出が上手いと思った点がある。それは、オスカルの実母は賢くて少し暗い性格の女性なのだが、この実母が従弟の子供を妊娠したので自殺した後に、オスカルの家で働くためにマリアという16才の女性が引っ越してくる。彼女は典型的なブロンディ(金髪で天然ボケの女)であり、マリアが出てきてからは急に話がコメディ調になる。しかし、マリアが引っ越してくるのは1939年秋であり、全く対照的に時代は第二次世界大戦の戦時下という暗闇に入っていくのである。しかし、ドイツ軍が勝っていた1941年冬まではオスカルの家族は夏は海水浴に行ったり、冬は近所の人とホームパーティを開いたりして、かなり明るく楽しい生活を送っていたのでる。ナチス党員である父はホームパーティの時に、「ワシもあいにくと徴兵免除だが、最前線で戦いたいな」などと笑顔で言っている。このシーンなどではナチスドイツ時代のドイツ人の生活がわかって興味深い。

 

今年の1月に「ジョジョ・ラビット」が公開されたが、この映画を劇場で見た時に僕は「『ブリキの太鼓』をハリウッドがリメイクしたような映画だ」と思った。この映画は「ブリキの太鼓」をかなり参考にしたいるという感じがする。僕と交流があるドイツ軍マニアの人たちも同じことを言っていた。この映画も「ブリキの太鼓」もナチス・ドイツを2次元的な描き方で批判しているし、生意気でませたドイツ人の子供が主人公であるという点が全く同じである。

 


映画を写真を見せて紹介しようと思う。写真上はこの映画のパンフレットで、下はベッド上でのオスカルとマリアのスチル写真であり、オスカルは何とか16才で初恋のマリアに気に入られようとするがマリアは全く相手にしないで、結局は父がマリアと結婚することとなるので、オスカルは初恋の女性が義理の母親になってしまう。

他にも映画のトレイラー(予告編)とかを貼って紹介したいけど、エログロシーンが多くて削除される可能性があるので紹介できないのです。だから、ユーチューブで「ブリキの太鼓」と検索してみてください。(苦笑)

 

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