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「プライベート・ライアン」よりも「戦争のはらわた」の方が名作戦争映画だ

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「プライベート・ライアン」よりも、「戦争のはらわた」の方が絶対に戦争映画の名作だと思う。

 

有名な戦争映画として「プライベート・ライアン」がよく知られているが、ユダヤ系ドイツ系アメリカ人映画監督のスピルバーグが作ったこの映画は、武装親衛隊のドイツ兵たちをスキンヘッド(ネオナチのイメージ)にしたり、ドイツ軍の描き方に明らかにユ ダヤ人の映画監督らしい悪意が見られる。だが、その一方でペキンパーの描いた「戦争のはらわた」には、東部戦線でソ連軍を相手に戦うドイツ兵に対する思いやりが感じられる。スピル バーグもペキンパーもドイツ系だけど、スピルバーグがユダヤ・ドイツ系なのに対して、ペキンパーは純粋にドイツ系なのが原因かもしれない。

ドイツ軍ファンの間では、「戦争のはらわた」は絶大な人気を勝ち取っている。この映画は原題は[Cross of Iron](鉄十字勲章)という映画なのだが、封切られた1978年頃は「ゾンビ」などのホラー映画ブームだったので、戦争の醜い内面をよく描いているか ら、という理由で「戦争のはらわた」という変な邦題になってしまった。(苦笑)

「プライベート・ライアン」のオマハビーチでの流血シーンよりも、「戦争のはらわた」のドイツ軍対ソ連軍の白兵戦での血しぶきの方がよほど迫力がある。そ れに、オープニングとエンディングに国旗が翻る、年老いたライアン2等兵が現代で家族と話すというような寒い演出もやっていない。「戦争のはらわた」には ただ、戦争の残酷さが描かれているだけ。これほどよく出来た戦争映画は他はあまりない。

 

「戦争のはらわた」のオープニング動画の解説。

 

「戦争のはらわた」のOPシーンはナチス・ドイツが戦争を始めて開戦以来ずっと勝ち続けるが、だんだんと泥沼にはまり1943年2月にスターリングラード戦で大敗北を喫する所までが、記録フィルムで描かれている。ラストではスターリングラードで降伏して戦死、或いはソ連軍の捕虜となった哀れなドイツ軍将校と兵卒と、ヒトラーの山荘で美女と談笑するナチス高官の映像が代わる代わる映される。

そのバックに流れる[Haenschen klein]「小さなハンス」の唄だが、日本では「ちょうちょ」として知られている。ドイツ人の友達に日本語で「ちょうちょ」を歌うと、
「何と歌っているかさっぱりわからないけど、メロディは確かに『小さなハンス』だ」
と言って笑っていた。

Haenschen klein ging allein in die weite Welt hinein
Stock und Hut steht ihm gut, ist gar wohlgemuet.
Aber Mutter weinet sehr, hat ja nun kein Haenschen mehr:
"Wuensch' dir Glueck !",sagt ihr Blick "kehr nun bald
zurueck !"

小さいハンスちゃんは一人で広い世界に出かけた。
杖と帽子もお似合いで、とってもいい気持ち。
でも、お母さんは大泣きだ。ハンスちゃんはもういない。
「幸せにね。早くお帰りよ。」

Sieben Jahr trueb und klar Haenschen in der Fremde war,
da besinnt sich das Kind eilet Heim geschwind.
Doch nun ist's kein Haenschen mehr, nein, ein glosser Hans ist er,
braungebrannt Stirn und Hand.
Wirt er wohl erkannt?

ハンスちゃんが外国に行き、晴れたり曇ったりして7年が過ぎ、
思い出したよ、ふるさとを。急いで帰ったのは良いけれど、
大きなハンスになっていた。茶色く日焼けた顔や手で
ちゃんとハンスと分かるかな?

Eins,zwei,drei,geh'n vorbei wissen nicht wer das wohl sei,
Schwester spricht: "Welch Gesicht",kennt den Bruder nicht !
Doch da kommt sein Muetterlein, schaut ihm kaum in's Aug'hinein,
spricht sie schon:"Hans,mein Sohn, Gruess dich Gott, mein Sohn !"

おいっち、に、さん、ハンスが通り過ぎたけど
みんな誰だか分からない。妹さえ「あんた誰」、兄さんの
顔が分からない。でも母さんは見つけるや、すぐに言ったよ
「ハンス、私の息子、お帰り!」と。

 

こちらがその動画。Youtubeにアップロードされているもの。

 

youtu.be

 

映画監督のスピルバーグはユダヤ系ドイツ系アメリカ人なので、ナチスドイツ軍が大嫌いだと言われている。

 

スピルバーグ[Spielberg]はドイツ系ユダヤ系アメリカ人であり、熱烈なシオニストであり、イスラエルの武力建国を支持している。[Spiel]はドイツ語で英語では[Play] であり、同じように[Berg]は[Mountain]の意味になる。だから、「シンドラーのリスト」とこの映画のように、彼はドイツ人を残酷に描いた映画を作って、「ドイツ人はかくも残酷であり、アメリカ人はユダヤ人を救うためにかくも勇敢に戦った」と世界に宣伝しているとしか思えない。でも、「シンドラーのリスト」は多少は創作があっても、史実に正確に描いているが、「プライベート・ライアン」はあまりにもひどすぎる。具体的な例として、最後の戦闘シーンでは武装SSのドイツ軍機甲部隊とアメリカ軍部隊が戦っているが、アメリカ軍の戦闘地区には武装SSの機甲部隊はいなかったので、あの戦闘シーンは全部が嘘になる。


「プライベート・ライアン」のストーリーを確認するために現役の自衛隊員に質問してみれば、「所属師団の違う1人の二等兵を救うために、8人もの兵隊が救出作戦を開始することは絶対にあり得ない」という答えが返ってくるだろう。この映画を劇場に封切で見に行って、僕の大好きなドイツ軍があまりにも無茶苦茶に描かれていたので、劇場を去る時には怒りを通り越して失笑してしまった。(笑)

 

かつて「YAHOO知恵袋」で2つの映画の比較を質問したことがある。圧倒的に「戦争のはらわた」を支持する声が多かった。

 


僕はYAHOO知恵袋で次のような質問を出して、この映画の感想を書いてもらったことがある。その時のやりとりを紹介して、「プライベート・ライアン」について批評してみたい。

「質問」


「プライベート・ライアン」なんかよりも、「戦争のはらわた」の方が絶対に戦争映画の名作だ。

「回答1」


比較対象がスピルバーグの「プライベート・ライアン」?

「戦争のはらわた」に失礼じゃないかぁーーーーーーあっ!

「回答2」


質問者さんの意見に500%同意します。

この映画の資料性の低さは正に驚がく的で、仮に、ドイツ軍が上陸防止用ジョーズを放っていたり、タイガー戦車を支援するのがティーレックスでも、驚くに当たらないほどです。

私は初めて見た時、オマハビーチに新築の別荘みたいにドイツ軍の海岸要塞が建ってるのを見て、イスからもろにずり落ちました。

この違和感は、単に時代考証がうんぬんという以前に、歴史的に無知な観客に「アメリカ兵は世界一」という認識を植え付ける「国策映画」としての図々しさから来るのかな?と思っています。

1950~70年代くらいには沢山のアメリカ戦争映画というのが作られましたが、当時はまだ体験者が、半分懐かしがりながら見ていたのでしょう、少なくとも、こうした違和感のある映画はありませんでした。
日独の兵士は冷酷で非情な戦闘マシンの強さを誇りながら、人間味あふれるアメリカ兵の頑張りにより徐々に敗れていく、結果的にはやられ役の方が数は多いんだけれど、それは単に描写の都合で、話的には敵が大兵力ということではないみたいな、微妙なバランスの映画でした。

これは、何よりも多くの体験者は当然のこととして、米兵は個人としては弱卒だけれど組織力によって勝利した、ぶっちゃけ、数で勝ったことを知っていた、経験したからだと思います。でも、組織力によってドイツ軍を圧倒したのではなくて、個々の兵隊も勇敢だったということを世界に宣伝したいので、この映画と「フューリー」のような映画が作られたのでしょう。

 

 

写真上はドイツのムンスター戦車博物館で撮影した本物のナチスドイツ時代の勲章。上の2つが「戦争のはらわた」でテーマになっていた騎士鉄十字勲章。今でもスワチカはドイツでは使用禁止だが、鉄十字は勲章として使われている。写真下は「プライベート・ライアン」のラストの戦闘シーンでアメリカ軍を追い詰めたドイツ軍のティガー1型重戦車。映画のものはソ連軍のT34-85型戦車を改造したものだが、これは本物の戦車。

 

 

最後に僕のブログを訪れてくれてありがとうございます。子供の頃からティガー戦車、メッサーシュミット戦闘機などの模型を作っているドイツ軍マニアなので、ナチスドイツ軍に関するブログ記事を他にも書いてます。さらに、ドイツで10試合ほどブンデスリーガの試合を観戦していて、ドイツサッカーが好きな方に対して色々と興味深いブログ記事を書いているので、できれば他の記事も読んでみてください。コメントを書いてもらえると嬉しいです。ドイツ語の勉強方法、ドイツ人家庭にホームステイした時の体験談も書いていますし、これからもドイツ関連のブログ記事を書いていきます。

 

 

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