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愛国心のない日本とドイツのスポーツ選手

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ドイツ人の友達が、「サッカードイツ代表に選ばれても辞退する選手がいる」と教えてくれた。 


話は飛ぶが、仙台に2012年まで住んでいたドイツ人男性の友達Sが、2006年のサッカー・ワールドカップ・ドイツ大会の前に、
「ドイツ代表のサッカー選手は、他の国に比べると愛国心がないんだ。日本の選手と似ているね。ドイツと日本では学校で、”国を愛する”という教育をしてないからね。ドイツ人も日本人と同じように”愛国心アレルギー”が強いよ。だから、ドイツ代表というのは、あまりベストメンバーが組めたことがないんだ」
と言っていたことがある。
 
彼はさらにこうも言った。
「ドイツのサッカー選手の中には、『代表に選ばれても行きたくない。プロサッカーのシーズン中は、家族に迷惑をかけっぱなしだったので、W杯期間中は家族と一緒に過ごして家族サービスをするつもりなんだ。代表チームに呼ばれても興味がない』などと、平然と言う選手がけっこういる」
「しかし、他のヨーロッパの国々はどうなんだ?」
と僕が聞くと彼は、
「他のヨーロッパの国々は、愛国心が強いよ。『我々の先祖はナチス・ドイツを撃ち破り、祖国を解放した。ドイツ軍に占領された後も愛国心に燃えて粘り強くレジスタンス、パルチザンの抵抗活動を続け、最後には戦争に勝利した』というふうに教育されているようだから。だから、そういう国では、代表に選ばれると大喜びする選手が多いようだ」
と答えた。

 

ドイツ人のサッカー選手が代表入りを辞退する理由は、ドイツが第二次大戦の敗戦国で愛国心に対するアレルギーが強いから。


フランスを始めヨーロッパの数か国では、ナチスドイツが降伏した日である5月8日は休日だ。ロシアでは、5月9日にはモスクワで大規模な軍事パレードが行われ、ロシア政府の首脳が出席して、ドイツ軍に勝利をした旧ソ連軍に敬意を表する。しかし、反対にドイツでは、「5月8日は何の日?」と聞かれても「ナチスドイツが負けた日」ということはわかっていても、別に何もしない人が増えているという。ドイツの場合はむしろ1990年に東西ドイツが統一された10月10日が祝日であり、こちらの方が重要視されている。


ドイツ代表はたしかに、ベストメンバーだったことが少ない。昔からベルント・シュスター、エッフェンベルク、バスラー、ショルのような名選手がW杯でプレーしておらず、代表に呼ばれても辞退したりしている。日本のカズのように、「W杯でプレーするのが夢」と言っている選手と比べると全く対照的だ。あと、ドイツの選手は最近は移民の選手が多い。クローゼ、ポドルスキーはポーランド生まれであり、エジル、ギュンドガンはトルコ系であり、それ以外にも黒人の選手も増えている。これは、サッカーとラグビーの日本代表にも移民の選手、ハーフの選手が増えているから、日本も似たような状況だ。

ドイツは日本と同じで第二次大戦の敗戦国なので、「祖国を愛する」という教育がタブーだから、愛国心がない人がいる。


話はWBCの日本プロ野球代表に飛ぶが、2006年のWBCの大会前にイチローが、
「日の丸を背負い、強い愛国心を抱いてプレイをして、日本の野球がいかにすごいかを世界に示そうと思います」
と言ったことがあった。中田英寿も2002年と2006年のワールドカップ大会の前に、似たようなことを言っていた。野球に関して言えば、日本と韓国とで冷静にデータを見ると、日本の方が格上なのは明らかだ。でも、日本代表はいつも韓国に最終的には勝っているけど、いつもかなり苦戦をしている。
 
では、なぜ、苦戦するのかというと、僕自身の考えとしては、やはり、「愛国心」の有無だとしか思えない。日本の永遠のライバル韓国は、北朝鮮と“休戦状態”なのであって、正確に言えば、今でも“戦争状態”なのだ。だから、国民には強い国を守るという意識があり、子供の頃から国のために戦う心、つまり、“愛国心”を植えつけられる。一方、日本では今でも「平和憲法」「憲法第九条」を大切にするという原理的平和主義者が多く、スポーツを平和の祭典などと考えている人が多い。
 
でも、野球、サッカー、それに他のスポーツでも、これだけプロ選手が参加して、盛り上がってくると、「平和と国際交流のためのスポーツ大会」などという建て前は吹っ飛んで、勝敗だけを見て一喜一憂するようになりつつある。だから、日本国民全員で、
「日本が優勝するように頑張って下さい。金メダルを取れるように頑張って下さい。国民もみんなが、強い愛国心と共に応援していますから」
などと言って、選手を応援するのが当たり前だろう。
 
 
第二次大戦の敗者である日本とドイツでは、“愛国心アレルギー”がかなり強いので、野球、サッカーの代表選手も、
「国の代表選手として、強い愛国心を抱いて・・・」
ということを、言いにくい雰囲気があるのは確かだ。それでも、選手とチームのスタッフは勝たないと袋叩きだし、国民も勝つことしか望んでいない。日本とドイツのスポーツ選手は、本当につらい立場にあると思う。でも、少なくとも僕自身は、世界のスポーツ大会で日本人選手が活躍するのを見るのが好きだし、試合をする以上は勝ってもらいたいから、いつも強い愛国心を抱いて応援するつもりだ。

 

ドイツの国会議員の中には、「スポーツの国際大会の時に国旗を振って応援するのは、移民を怖がらせるから止めるべき」と主張する人までいる。

 

写真上は日本の国旗とスポーツ競技大会のイメージで、写真下はサッカーワールドカップ時に、国旗を持ってドイツ代表チームを応援する若いドイツ人女性。しかし、ドイツ人友達が言うには、「ドイツ人が愛国心を抱いて国旗を持つ時は、サッカーワールドカップ、ユーロ(サッカーヨーロッパ選手権)、オリンピックというスポーツの国際大会の時だけで、それ以外の時は愛国心はタブーだよ」と言っていた。さらに、ドイツ人左翼国会議員の中には、「サッカーワールドカップなどのスポーツイベントの時に国民が応援するのはOKだが、ドイツ国旗を持って愛国心を抱くのは危険だ。なぜなら、ドイツは移民が多い国だから」などと言っている人がいるという。これは、日本の場合も当てはまると思う。やはり、第二次大戦の敗戦国である日本とドイツでは、「愛国心」「国歌」「国旗」ということをタブー視する人が多い。一方で、第二次大戦の戦勝国ではこれらのことを歓迎する国民が多い。これはやはり、両者の教育方針が敗戦国と戦勝国では全く逆だからだろう。

 

 

最後に僕のブログを訪れてくれてありがとうございます。ドイツで10試合ほどブンデスリーガの試合を観戦していて、ドイツサッカーが好きな方に対して色々と興味深いブログ記事を書いているので、できれば他の記事も読んでみてください。それ以外にもドイツに滞在していた時の体験談、ドイツ語の勉強の方法、ナチスドイツ軍に関する記事も書いてますし、これからもそういう記事を書いていくつもりです。

 

 

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