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ドイツには日本のようなお笑い芸人はそんなにいない

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ドイツのテレビには日本のようなお笑い番組はあまりない。大阪の吉本興業のようなお笑い芸人が所属する芸能事務所がないのが原因。

 

最初にはっきり言うと、ドイツのTV番組はあまり面白くない。これは、決して僕がドイツ語があまりわからないからではなくて、日本のような「ひょうきん族」「めちゃイケ」「ガキの使いやあらへんで」「(志村けんの)たいじゅうぶだあ」みたいな、動きが多くて分かり易いコメディ番組はあまりないから。日本の場合は落語、漫才というお笑い芸が昔からあって、東京を中心とした浅草芸人の事務所、大阪を中心とした上方芸人の事務所というのが伝統的にあるけど、どうやらドイツにはそういうものがないらしい。

 

ドイツ人は休みの時は家族、親戚、友達と雑談、パーティ、ゲームなどをして楽しむ習慣があるので、あまりテレビの バラエティー番組を見る人はいない。

 

大きな理由の一つは、ドイツ人に限らず僕が知る限りではポーランド人、オーストリア人などのヨーロッパ人は、仕事後、週末などの自由時間になると友達数人と集まってワイワイと歓談するのが好きであり、週末になると家族、親戚、友達が集まってパーティを開くので、テレビのお笑い番組を見るという娯楽にはあまり興味がないらしい。

 

それに、10家族以上のドイツ人家族を訪れて一緒に朝食と夕飯を食べたりしたけど、どこの家でも飯を食べる時はテレビは見ない。日本の家は狭いからテレビを見ながらご飯を食べる家族は多いけど、ドイツ人の家は飯を食べる部屋とテレビがある応接間とは別な家が多いので、テレビを見ながらご飯を食べるというのはまずあり得ない。さらに日本とは全く違うのは、ドイツの家族では飯を食べながらテレビを見るのでは、飯を作った母親に対して極めて失礼に当たり、母親が激怒することもある。H家にホームステイをしていた時に、

「日本の僕の家では、ご飯を食べながらテレビを見るのが当たり前なんです」

と言ったらH家の奥さんは、

「それはドイツではあり得ないですね。ご飯を作ってくれた母親に対して失礼だと思いませんか?ご飯を食べる時は家族で色々と話し合う時でしょ?」

とびっくりした顔で言われた。


ドイツ人家庭にホームステイしていた時に、家族の人たちは色々とドイツのバラエティ番組を見せてくれたけど、日本とドイツでは笑いの沸点が違うのであまり楽しめなかった。

 

それで、H家にホームステイをしていた時に、客である僕を楽しませようと色々とドイツのコメディ映画、コメディドラマ、コメディショーなどを見せてくれたけど、やはり当時はドイツの芸能事情とかよくわからなかったこと、さらに、日本人とドイツ人では笑いの沸点が違うということもあって、あまり楽しめた番組はなかった。

「日本のコメディ番組は、ドイツのコメディ番組よりももうちょっと乱暴で動きが多いんですよ。芸人を熱湯風呂に入れたり、氷風呂に入れたりして大げさなリアクションをするとか。ドイツのコメディは日本よりもちょっと大人しいですね」

と奥さんに言ったら奥さんは、

「私も主人のビジネス旅行に付き添ってロンドンに行った時に、イギリスの英語のジョークをたくさん教えてもらったけどあまり面白くなかったから、あまり気にしなくていいですよ」

と奥さんは言っていた。

 

ドイツはサッカーワールドカップで優勝4回、オリンピックでもたくさんの金メダルを取るという世界トップレベルのスポーツ大国なので、バラエティ番組よりもスポーツ番組がすごく多い。

 

日本とドイツのお笑い番組でさらに違うのはドイツは大のスポーツ大国で、野球、アメフト、ラグビー、クリケットなどの一部のスポーツを除くと、ドイツはどのスポーツでも世界トップレベルなので、「ユーロスポーツ」というヨーロッパ全土で見れるスポーツ番組を見て、ドイツ人選手を応援する人が多くて、お笑い番組を見る人は少ないという事実もある。サッカーが世界レベルで強いのはよく知られているが、テニスでは男子のボリス・ベッカー、女子のシュテフィ・グラフなどが90年代には無敵の強さを誇った。その他、冬のスポーツでもスキージャンプ、ノルディック複合、スキーのスーパー大回転、スケート、フィギュア・スケート、リュージュなど、ドイツは冬のオリンピックでも、いつもアメリカ、ノルウェーと金メダル獲得数で競争をするほど強い。ドイツは冬のオリンピックでは、いつも10個以上の金メダルを獲得する。

 

これだけドイツではスポーツの世界レベルのスター選手が多いので、お笑い芸人の出番はないと言えるだろう。ドイツのテレビ番組では、スポーツのスター選手がゲストとしてトーク番組に出ることが多い。日本でいうとダウンタウンの浜田雅功が司会をしている「ジャンクスポーツ」のような、スポーツ選手がゲストのトーク番組が結構多い。

 

それで、やはりドイツはサッカーW杯4回優勝、ユーロ(ヨーロッパ選手権)3回優勝というサッカー大国なので、やはり、有名なサッカー選手をネタにしたお笑いがある。Matze Knop(マッツェ・クノップ)というモノマネ芸人がよくドイツの有名なサッカー関係者のモノマネをしている。十八番はベッケンバウアーらしい。ベッケンバウアーは生まれも育ちもバイエルン地方なのでバイエルン方言で話をするから、よくモノマネをされている。僕よりもドイツに詳しい人たちが、バイエルン方言というのは日本語でいうと関西弁のようなものだと言っていた。バイエルン・ミュンヘンのホームページにも、「我々は標準ドイツ語(標準ドイツ語はハノーファー辺りのドイツ語)をしゃべる以外は何でも出来る」ということが書いてある。(笑)

 

つまり、ドイツのお笑いを理解したかったら、ドイツの情報をよく知ってないといけない。政治、歴史、文化、スポーツなどの情報をよく知ってないと、ドイツのお笑い番組を楽しむことは出来ない。僕のマイミクの中にはヨーロッパサッカーとドイツサッカーについて詳しい人がいるが、そういう人にとってはドイツのお笑い番組はけっこう面白いかもしれない。ドイツのお笑い番組では、ヨーロッパサッカーの現状についてもよくネタにしている。

 

ドイツのお笑い番組事情がどういうものかよく知りたいのなら、「帰ってきたヒトラー」という映画を見れば、この映画の中にドイツのお笑い番組制作の様子が描かれている。この映画のように、ナチスドイツ時代と第二次世界大戦をパロディにしたお笑い番組もけっこう作られている。これはイギリスのBBC制作の「モンティ・パイソン」が第二次世界大戦のブラックジョークをよく作るのに似ている・でも、映画「帰ってきたヒトラー」の中でも言っているように、「ホロコーストだけはシャレにはならない」という鉄則があるので、そこには流石に限度がある。

 

 

上のイラストは日本の漫才師のイメージで、下のイラストは「Mr.ビーン」で有名なイギリスのコメディアンのローワン・アトキンソン。ドイツでもやはり日本と同じようにアメリカとイギリスのコメディ番組と映画はとても人気があり、ドイツ語吹き替えでテレビで放送されている。

 

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