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ドイツ語は日本語のように方言の違いが大きい言語

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ドイツ語の方言によって田舎のドイツ語は分からないと教えてくれたホームステイ先のベンツ社の部長

 

僕は1999年春にドイツ南西部にある街、シュツットガルト付近のファイヒンゲン・アン・デア・エンツという町に住むH家にホームステイをしながら、ドイツ語を3か月ほど学んだことはこのブログの他の記事でも既に書いたが、それで、シュツットガルト市内にあるドイツ語学校では当然ながら標準ドイツ語を学んだのだが、シュツットガルト市内で会話をしてみると、シュツットガルト市民が言ってることがわからないことがよくあった。H家での会話を聞いていてもよくわからないことがあった。それで、このことをH家の主人に質問してみると主人は苦笑いをして、
「それは、シュツットガルト付近の人たちはシュヴァーベン方言という方言を話すから、標準ドイツ語を学校で学んでる君にはわかりにくいんだよ。確かに、この辺では標準ドイツ語を話す人はあまりいないから、外国人にとっては辛いだろうね」
と言われたのだった。ちなみに、H家の主人はベンツ社の部長であり、上の写真のような車を運転していた。たまに、主人は車で僕をシュツットガルトの語学学校の近くまで乗せていってくれた。

 


ドイツ語の標準語は北部のハノーファー市付近のドイツ語のことを差す。首都のベルリンの言葉が標準語ではない。

 


それでは標準ドイツ語はどこのドイツ語なのかというと、普通に考えれば「ベルリンがドイツの首都だから、ベルリンのドイツ語が標準語なんだろう」と思うだろうが、そうではなくて意外な地域のドイツ語が標準ドイツ語なのだった。以下、ウィキペディアの説明を引用。

現在標準ドイツ語と呼ばれるものは、書き言葉としては主にテューリンゲン地方などで話されていた東中部方言(テューリンゲン・オーバーザクセン方言)を基にした言葉で、この特徴をもつルター訳聖書のドイツ語が広まったことによって標準文語の地位を獲得した。このため、「高地ドイツ語(Hochdeutsch)」という言葉は「標準ドイツ語」という意味でも用いられる。ただし、発音に関する標準語の規範は19世紀末になってテオドール・ジープス(de:Theodor Siebs)の「舞台ドイツ語」(de:Bühnendeutsch)を権威として確立され、ジープスが低地ドイツ語の発音に強く傾倒した[4]ため、発音に関しては低地ドイツ語の地域であるハノーファーの都市部の発音が最も標準語に近いと言われている。今日外国語としてドイツ語を学ぶ場合、この標準ドイツ語を学習することになるが、ドイツ本国では完璧な標準ドイツ語を母語とする話者は少なく、どの地域も(たとえテューリンゲン地方やハノーファーであったとしても)ある程度の「訛り」が存在する。

 

ja.wikipedia.org



ここで解説するが、ハノーファーというのはドイツ中央部から少し北にある人口50万人ほどの中規模の都市である。周辺地区の衛星都市の人口を合わせても80万人ほどしか住民は住んでない。人口が100万以上の大都市であるベルリン、ミュンヘン、ハンブルク、ケルンなどのドイツ語ではなくて、中規模の都市のドイツ語が標準語というのは何とも不思議だ。

つまり、日本から飛行機に乗ってドイツに行った場合、フランクフルトかミュンヘンに着くが、その両方の都市のドイツ語ともに方言であり、標準ドイツ語を学んでいっても通じないことがあるらしい。ただし、空港内の係官は標準ドイツ語で応対をしてくれるが、空港から少し出て電車に乗ったりレストランに入ったりすると、そこの人たちは方言を話すので通じないことが多いらしい。


それで、話をシュヴァーベン方言を話すH家の人たちに戻すと、H家の主人と奥さんは元はというと北ドイツのハンブルク付近の生まれなので、ハンブルクから親戚が来てシュヴァーベン生まれの息子Jと娘Wと話すと2人とも、「何をいっているんだかさっぱりわからないんだけど」と言って、両親に質問をするという問題があるらしい。(笑)

ドイツのホームステイ先の家族に、日本語も方言で会話が出来なくなる事を教えた

 

 

そこで僕の方も日本語も方言による違いがたくさんある言葉だと説明をした。
「日本語でも標準語は首都の東京の言葉なんだけど、西日本の大阪、広島、福岡の人たちは全く違う方言を話すんです。日本語もドイツ語と同じように方言の違いが激しいので、僕が住んでいる宮城県仙台市の人が仙台弁で東京の人と会話をしようとしても、『通訳が必要だ』と東京の人が言い出すくらい方言の差があるんです。350キロしか離れていない東京ですらこんな感じですから、仙台の人が1.000キロくらい離れた九州の人たちと会話をしようとしても、まず無理なんです。だから、仙台の人はビジネスで東京などの他の地方の人たちと会話をする時は、なるべく標準語で会話をするように心がけてます。

ただ、仙台市内は最近は若い人は標準語で話す人が増えていて、宮城県内の田舎に行って宮城県の方言を話す年寄りの人たちと会話をすると、全く会話ができないことがあります。僕の父の実家は仙台市から50キロほど北に行った田舎町にあるのですが、そこで父方のおじいさんと父の弟(僕にとってはおじさん)と父が3人で会話をした時に、僕はそれを聞いていたのですが本当の宮城県の方言で話をしていたから、何を言っているんだかさっぱりわからなかったのです。仙台から50キロほど離れた土地でもこんなに方言の違いがあるんです」

こういってH家の人たちに説明したら、主人はこう言った。
「日本語は難しい言葉というイメージがあるが、方言の違いまであるならさらにもっと難しいんだろうね。君はお父さんが銀行員で子供の時は日本の色んな街に住んだけど、方言の違いをどうやって乗り越えたんだ?」
「その街に住んだ時に、なるべくそこの人たちと会話をして方言に慣れるしかないですね。特に苦労したの東京から西日本の広島と大阪(正確には西宮市)に住んだ時で、これらの地域の人たちは方言に誇りを持っていて、標準語を話す人がほとんどいないんですね。だから、標準語の日本語を話せる外国人が広島、大阪などに行ってもほとんど現地の人には通用しないでしょう」
「ドイツの場合もここシュヴァーベン、バイエルン、ベルリン地方の人たちは標準ドイツ語を話す人はほとんどいないんだよ。中央駅、観光案内所、博物館、大きなレストランなどで勤務している人たちは観光客に対応するために標準ドイツ語を話すけど、それ以外の人たちは方言を話すんだよ。日本と同じように、ここでも方言には慣れるしかないよ。君にとっては大変だろうけど」
と言って主人は苦笑いをしていた。その後も家族の人が言った言葉がわからないと、「あれは方言の言葉だから学校では習わないだろうね」と言って説明をしてくれた。

 

ドイツの人気サッカーチーム、バイエルン・ミュンヘンのホームページには「私たちは標準語を話すこと以外は何でも出来ます」と書いてある。


そういう方言の違いをよく証明しているのが、シュツットガルト、ミュンヘンのサッカーチーム、企業などのホームページで、VfBシュツットガルト[VfBは(運動協会ような意味)と、ビッグクラブで有名なバイエルン・ミュンヘンのホームページのには、[Wir koennen alles, ausser Hochdeutsch!](我々は何でも出来る!標準ドイツ語以外は)ということが書いてある。サッカーチームどころか、シュツットガルト市があるバーデン・ヴュルテンベルク州のホームページにも同じことが書いてある。つまり、ドイツ南部のバーデン・ヴュルテンベルク州とバイエルン州の住民にとっては、「北ドイツ人がしゃべる標準ドイツ語ではなくて、我々がしゃべる南部方言のドイツ語こそが本当のドイツ語なんだ」というような、方言へのプライドがあるようである。

ドイツ語の方言を日本語に例えると日本のどの地域の方言か?

 

 

ここからはちょっと濃いドイツマニア向けの方言の話なのだが、ドイツ軍マニアが集まるHPなどで「ドイツ語の方言を日本語に例えるとどうなるか?」という話題で盛り上がったことがあった。ドイツ語が流暢にしゃべれて何度もドイツを含むヨーロッパ各地で取材をされて、ナチスドイツ軍の戦記の翻訳、戦記の執筆までされている方々、その他にもドイツ語圏に滞在して仕事をされていたようなドイツ語が喋れる人たちが参加して、この話題について話し合った。結論から言うとバイエルン、オーストリアなどの方言は関西弁であり、シュツットガルト付近のシュヴァーベン方言は名古屋弁であり、ベルリン、ハンブルク辺りの方言は東北弁に近いという結論になった。ルール地方などの低地ドイツ語については、日本語の方言で当てはまる言葉は見つからなかった。

 

ドイツのヒトラー総統は演説の時には標準語だが、プライベートな会話はバイエルン方言だった

 


そういうことなので、ヒトラー総統は演説の時には全国民にわかるように標準語で話をしたけれども、映画「ヒトラー最期の12日間」で激怒している時のような、個人的な感情を爆発させている時には、さすがに自分の出身であるオーストリア方言で怒鳴っていたらしい。だから、総統の激怒を方言を交えて翻訳するとこうなる。
「おんどれら、将軍たちはしょーもない裏切り者やで。ほんま、ドイツ国民とワシに対してえらい裏切りをしてくれたもんやな。自分らには栄誉もクソもあらへんやないかい!俺一人が頑張っても、こんなボロクソな状況をどないせえちゅうねん!?ワシもスターリンみたいに将軍たちを粛清するべきやったな。だが、もう遅すぎやけど!戦争はもう負けてもうたやんけ、これからこの総統のワシにどないせえちゅうねん!?自分らは、もうやりたいことをやったらええねん。勝手にせえ」
僕の関西弁がかなり怪しいからおかしいでしょうけど、だいたい、こんな風になるらしい。

この、オーストリア生まれのヒトラー総統の南部ドイツ人とオーストリア人ひいきというのはかなり有名であり、ヒムラー、ゲーリング、ゼップ・ディートリッヒなど、ナチス党員と親衛隊の中でも南部ドイツ出身の者たちを優遇したのは有名な事実である。また、ロンメル将軍も将軍の中にあっては珍しくプロイセンユンカー貴族の出身ではなくて、ヴュルテンベルク州の普通の家族の出身だったので、ヒトラーとナチス党幹部に重用された。その原因の一つはやはり南部ドイツの方言で会話が出来ることである。これは、東京に住んで仕事をしていても、関西出身の上方芸人たちが同族意識を持っていて仲が良いのと同じである。

一方で「フォン・〜」という名前を持つ、現在のドイツ東北部とポーランド西北部の出身のプロイセンユンカー貴族出身の将軍たちは、ヒトラーとナチス党幹部に嫌われており、ヒトラーが総統になるとフォン・ブロンベルク、フォン・フリッチュなどは国防大臣、陸軍総司令官の地位から追放された。その後ナチスドイツ軍の敗戦が濃厚となって、1944年7月にフォン・シュタウフェンベルク大佐を中心とした多くの「フォン・〜」という将軍たちが反ヒトラー派に参加していたことを知ると、ナチス党幹部の中には「フォンが付くプロイセンユンカー貴族は、全員が裏切り者だ」などと言い出す始末だった。ここにもやはり、方言が違う南部ドイツ人対北部ドイツ人という対立構図が見える。

ただし、オーストリアとバイエルンの方言=関西弁という説は多くのドイツが堪能な人たち、東京外国語大学のドイツ語学科を始めとして、その他の有名大学のドイツ語学科を卒業した人たちにとっては異論があるでしょうけど、一応、あくまでも「遊び」として考えるとこんな感じになるということ。(笑)

 

 

 写真上は僕がホームステイをしていたシュツットガルト近郊に住むH家の主人が所有していたベンツ。正確な車種は覚えてないが、大体こんな感じの4ドアセダンだった。主人はベンツ社の部長であり、何度かシュツットガルト市内まで僕を愛車に乗せて送ってくれた。写真下は「標準ドイツ語」を話すドイツ北部にあるハノーファー市の観光名所の市庁舎。ハノーファーとブレーメン辺りのドイツ人は標準ドイツ語を話す。

 

 

最後に、僕のブログを訪れてくれてありがとうございます。この記事のようなドイツ人家庭に滞在した時の体験談以外にも、ドイツで10試合ほどブンデスリーガの試合を観戦していて、ドイツサッカーが好きな方に対して色々と興味深いブログ記事を書いているので、できれば他の記事も読んでみてください。ドイツ語の勉強の方法、ナチスドイツ軍に関する記事も書いてますし、これからもそういう記事を書いていきます。

 

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ローマイヤレストラン 銀座店
〒104-0061 東京都中央区銀座5-9-17 銀座あづまビル2F
4,000円(平均)1,000円(ランチ平均)
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Zum Eichen Platz アイヒェンプラッツ
〒107-0052 東京都港区赤坂5-5-11 赤坂通り50番ビル2F
4,000円(平均)880円(ランチ平均)
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シュマッツ・ビア・ダイニング CIAL横浜ANNEX
〒221-0835 神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町1-66-9 CIAL横浜ANNEX
2,999円(平均)
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横浜ドイツバル GRIMM~グリム~ 西口バル小路店
〒220-0005 神奈川県横浜市西区南幸1-10-8 大信ビル1F-A
2,490円(平均)
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ツァ・ディーレ
〒467-0806 愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂通6-15
6,000円(平均)2,000円(ランチ平均)
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白雪ブルワリーレストラン 長寿蔵
〒664-0851 兵庫県伊丹市中央3-4-15
3,000円(平均)2,000円(ランチ平均)
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ドイツレストラン ヴュルツブルク
〒520-0811 滋賀県大津市由美浜5
3,500円(平均)2,500円(ランチ平均)
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AMBER RONDO
〒980-0803 宮城県仙台市青葉区国分町2-5-7 YS51ビル2F
2,500円(平均)
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